伝説の写真家「ソール・ライター」の展覧会が最高!!
こんにちはレッサーパンダです。今年の3月は暖かな日が続きました。そのせいか、4月に入り桜も花がすっかり終わった感がありますね。そんな陽気に誘われて3月に出かけた写真展のお話です。
JR京都・伊勢丹で開催された遺作展
3月14日(土)ですから、このお話すっかり時間がたってしまいました。出かけたのは JR京都・伊勢丹の7階にある美術館「えき」KYOTOで開催された「永遠のソール・ライター」という写真展です。
ソール・ライターはニューヨーク在住の写真家です。1923年に生まれ2013年に89歳で亡くなっています。若い頃は有名ファッション誌のグラビア写真を多数撮影し、時代の最先端、時代の寵児を自他ともに認める存在でした。そんなソール・ライターですが、働き盛りの40代に差し掛かりファッション写真の世界から突如姿を消します。その後のライターは自分の住むニューヨークの日常をテーマに写真を撮り続けます。
彼が再び世の脚光を浴びるのは2000年代に入ってからです。私たちが「これぞソール・ライター」と賛美し、よく目にする作品の多くはニューヨークのど真ん中の風景です。それも彼の住まいから数ブロック(半径700~800mぐらい)という本当に狭い範囲を撮影したものです。
現在、ソール・ライターの作品の多くは2014年に創設されたソール・ライター財団が管理しています。今回の展覧会は数千点におよぶ作品の中から厳選されたものだそうです。
人生を、世の中をシンプルに見つめるライターが好き
これまでレッサーパンダはソール・ライターの作品に出版やメディアを通して接してきました(実際の展覧会に出かけたのはこれが初めてです)。ニューヨークの街を歩いて人々の生活やエキゾチックなシーンを切り取るソール・ライターの感性が大好きです。衣装や照明で写真作品を作りこむのではなく、シンプルに生活のシーンを切り取る作品には共感を覚えます。また、知れば知るほど、これらの作品はシンプルな彼の生活に裏打ちされたものだということにも気づきました。現代、私たちは仕事も暮らしも自ら複雑で厄介なものにしてしまいがちです。インスタグラムで「#ていねいな暮らし」というハッシュタグが流行っていますが、ソール・ライターは、まさにそれを地でいったような人物なのです。
写真という芸術の過去と現在
今回の作品展、一番に思ったことは作品点数が多いことです。正確に数えていませんが200点は軽く超えているのではないでしょうか。これ、絵画の展覧会(それも個展)となると、どんな有名作家でもかなりのパワーが必要です。この辺りが絵画の展覧会との大きな違いかな・・・などと考えながら作品を見ていました。また、ソール・ライターの作品を見ていて思ったのですが、現代のアート写真は今、どうなっているんでしょうね。レッサーパンダの知る限り、コマーシャルフォトの世界では手を変え、品を変えどんどん新しいものが出ていますが、純粋な芸術作品としての写真の進化発展はかなり、ゆっくり(止まっているとは言わないまでも)チャレンジングな取組は極めて少ないように思います。動画作品はネットで簡単に儲かるせいか、どんどん参入、参加する人が増えているのだけれどね。これも時代の流れだろうか?
そんなネガティブな事を考えながら会場を歩いていても、やっぱりソール・ライターの作品は素敵でした。
簡単に自己表現できる写真作品、気軽にシャッターを切りたい
ちゃんとした絵画作品を完成するには少なくても数カ月、長くなると何年もかかります。一方、写真作品は簡単にシャッターは切れるものの何百カットの中から、たった1枚の『あたり』作品を見だす作業は気が遠くなるような労力がかかります。
どちらも一長一短ありますが、納得のいく作品を作り出すにはスキルと根気が必要なのは同じです。ただ、少しの投資で手軽に楽しめるという点ではカメラ(写真)に軍配が上がりそうです。もっと、もっと多くの人が自己表現の手法として写真作品に取り組んでもいいように思います。
そうそう、最近、一眼レフ(ミラーレス)カメラにパンケーキレンズをつけて街を歩くカメラ女子を見かけますが、あれはきっとソール・ライターの影響なのではないかと思っています。
1時間ほどの写真展鑑賞でしたが、本当に色々と考えさせられる展覧会でした。色んな意味で楽しい時間を過ごしました。
以前、ソール・ライターについてはこのブログでも書いています。ご興味のある方はこちらから。
今日は伝説の写真家「ソール・ライター」の展覧会のお話でした。それでは、またね。
美術館「えき」KYOTO について
JR京都伊勢丹の7階にあり気軽に上質な美術作品を楽しめるスポットです。4月3日からは有名アーティストの写真作品で有名な「鋤田正義写真展」も開催されていますよ。
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