岡崎公園にあるラ・ヴァチュールの「タルトタタン」受け継がれたおばあちゃんの味
こんにちはレッサーパンダです。ファッションでも映画でも最新の流行を追いかけることは本当に楽しいですね。好奇心を刺激されます。反面、最近のレッサーパンダは古い伝統を守りながら先人の思いを大切に育んでいる物にも心惹かれます。京都・岡崎公園の一角にある「ラ・ヴァチュール」のタルトタタンもそんな逸品の一つです。京都国立近代美術館のゴッホ展を見た後にぶらぶら歩くにはちょうど良い距離にあるお店。今日はおばあさんが始めたお店をそのお孫さんが引き継ぎ、変わらぬ味と人気を博しているタルトタタンのお話です。
おばあさんから引き継いだ小さなお店
ラ・ヴァチュールはもともとフランス料理店として1971年にオープンしました。フランス料理店時代に初代の店主・松永ユリさんがコースのデザートとして作っていたフランスの家庭菓子「タルトタタン」が喫茶店となった現在も人気です。現在は、二代目としてお孫さんの若林麻耶さんがその味を守っています。
林檎パイづくりの失敗から出来た「タルトタタン」
タルトタタンというお菓子をご存じですか?19世紀後半、フランスのソローニュ地方にあるホテル・タタンに姉妹がおりました。ある日、タタン姉妹はお客様のおもてなしの為に伝統的なアップルパイを焼いていたのですが、ついうっかりタルト生地を入れ忘れてしまったのです。
リンゴは焦げてキャラメル状になってしまい、とてもアップルパイには見えません。そこで仕方なく、上から生地をかぶせてみたら、何とも美味しいお菓子が出来あがりました。タルトタタンは、「タタン姉妹のタルト」という意味です。今でもフランスで愛され続けており、ソローニュ地方には、タルトタタンの伝統的なファンクラブがあります。お祭りの日には、胸にタルト・タタンをかたどった陶製の勲章をつけ、昔の農夫のスタイルを真似た赤い帽子と青いマントという姿でお菓子を楽しみます。
フランス人も認めた「タルトタタン」を味わう
今でもお店の一角に96歳で亡くなった先代ユリおばあちゃんの指定席が残されています。そこにはタルトタタン協会の正装に身を包んだユリさんの凛々しい写真が飾られています。ラ・ヴァチュールのタルトタタンはフランスの愛好家から認定証をいただいたお墨付きなのです。
1ホール作るのに20個のリンゴを使います。4時間リンゴだけを煮詰めて作る自然な甘みとほのかな酸味はバターの香りとともに食後も余韻が残ります。
食べるたびに思うのですが、切り分けられた、この1ピースは「これ以上だと多すぎる」、「これ以下だと少なすぎる」という気がします。かなり濃厚でリンゴを濃縮したお菓子なので、この大きさが本当に適量です。いつもヨーグルトが添えられていて、付けて食べると濃厚なタルトタタンが爽やかで軽やかな風味に変わります。ヨーグルトがお嫌いでなければ一緒に食べるのがおすすめです。
10年後、20年後のラ・ヴァチュールが楽しみ
食べ終わったあと、現在の店主である若林さんとお話をしました。レッサーパンダはこのお店の向かいにある京都武徳殿(現・武道センター)に剣道の昇段試験のために通っていたことや、40年近く前に叔母に連れて来てもらったことが最初であることなどをお話しました。
帰りがけに失礼にも「おばあさんに似てきましたね」と言うと「よく言われます。」とニッコリ微笑んでくださいました。タルトタタンの爽やかな味が蘇ったような笑顔でした。10年後、20年後、このラ・ヴァチュールという魅力的な店はどうなっているのか(ほぼ伝説ですね)、この若い店主は円熟の年齢となりどんな魅力的な人物になっているのか、自分の目で確かめに来たいと思います。今日は岡崎公園にあるタルトタタンが美味しい喫茶店「ラ・ヴァチュール」のお話でした。
LA VOITURE「ラ・ヴァチュール」
住所:〒606-8323京都市左京区聖護院円頓美町47-5 京都グランドハイツ1F
営業時間:11:00~18:00 月曜定休日
TEL:075-751-0591
料 金:タルトタタン¥690、クルミのタルト¥500、オペラ(チョコレートケーキ)¥490、コーヒー¥470
交通:京都市バス「熊野神社前」から6分、京阪「神宮丸太町」から徒歩15分、地下鉄「東山」から徒歩15分