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2018-03-18

この本読みました!パク・ミンギュ「ピンポン」

レッサーパンダです。昔、雪道をせっせと歩いていると、いきなり目の前が真っ白になって、訳が分からず泣きそうになりながら助けを呼んだ経験があります。後から分かったのですが、雪が降り積もって見えなかった深い側溝に落ちたのです。驚きました。パク・ミンギュの「ピンポン」という小説を読んで、あの時の不思議な「持っていかれ感」を思い出しました。

きっかけはテレビ番組「アメトーーク!」の読書芸人

深夜にやっている「アメトーーク!」という番組をご存じですか?雨上がり決死隊という芸人さんが司会をしている番組で、毎週、芸人さんが決まったテーマをもとにプレゼンテーションをするというバラエティー番組です。例えば、「家電芸人」とか「絵心ない芸人」とかですね。そんな中で「読書芸人」という人気の回があります。有名芸人やタレントが自分の好きな本や読んでみて良かった本を紹介するのです。レッサーパンダ自身と読書傾向が似ている芸人さんがいたり、番組内で褒めちぎられている本に「ほんとかぁ?!」と突っ込んでみたり。結構楽しめる番組なのです。でも紹介される本は「いわゆる人気本」が多く大抵は既に読んでいます。そんな中、昨年の11月の回でオアシズ・光浦靖子さんが紹介していた「ピンポン」という小説が気になりました。

おもしろい装丁なんだけれど、表紙のデザインはもう少し考えた方が良いと思います。

おもしろい装丁なんだけれど、表紙のデザインはもう少し考えた方が良いと思います。

知らなかった。パク・ミンギュは韓国を代表する有名作家

この小説、番組の中ではほんの少しだけ触れられたのですが「最後のどんでん返しが、すごく面白い!すごい!」という解説と「パク・ミンギュ」という作家のことを全然知らなかったので気になって買ってみました。昨年、12月に買って、そのまま2月まで放置状態。つまり読書優先順位としてはA、B、CのC上ぐらいだったのです。著者のパク・ミンギュですが、韓国の有名文学賞を立て続けに受賞した人気の作家です。現代韓国の社会問題を醒めた目線で批判するスタイルが受けているようです。日本では「カステラ」という小説が第一回日本翻訳大賞を受賞しているそうです。悔しいけれど、全然、知らなかったぁ。それと、もっと早く読めばよかった(笑)

卓球(ピンポン)がキーワード。文中の会話のリズムも「ぴん、ぽん、ぽん」という感じ。

卓球(ピンポン)がキーワード。文中の会話のリズムも「ぴん、ぽん、ぽん」という感じ。

もし、自分に「人類の歴史」を終わらせる権限が与えられたらどうする!?

この小説、実は「いじめ」がテーマです。「釘(くぎ)」と「モアイ」というニックネームの中学生ふたりが毎日、毎日、不良たちに殴られる。それも哲学的に。そんな小説。序盤は「センシティブな青春小説かな」と思いながら読んでいたのですが、二人が広場に放置されたピンポン(卓球)台に触れるところからお話が大きく動き出します。いつの間にかピンポンが上達して、謎のスポーツ用品店・店主でフランス人の「ソクラテン」から『卓球の黒歴史』を教えられるうちに話が予想外の方向に。最後には人類の歴史をインストール(継続)するかアンインストール(排除)するかの大問題をピンポンの試合で決めるはめになります。読みはじめとは全く違う景色が突然眼の前に広がっていきます。丁度、『いきなり雪の穴に落っこちたレッサーパンダの経験』そのままです。試合に勝利した釘とモアイには「人類の歴史を終わらせる権限」が与えられるのですが、もし、あなたならどうしますか?

私たちは、知らないところで誰かに大きく人生を左右されているのかもしれません。

私たちは、知らないところで誰かに大きく人生を左右されているのかもしれません。

ピンポン!ぴん、ぽん、ぽん。やってみたい卓球

この本、小説としてストーリーを追うよりも雰囲気を楽しむ作品です。お話自体は「なんじゃこれ!?」という流れなのですが、主人公「釘」(不良に殴られている姿が金槌で釘を打っているようなのでついた仇名)のモノローグ(人生の意味を思索するような語り口)、ピンポンのような軽妙なやりとりが面白いのです。また、写実的な描写は無いのですが、主人公たちのピンポンの腕前がメキメキ上がっていくのが解かります。「ちょっと卓球やってみようかな」という気持ちにさせてくれます。作者のパク・ミンギュがこの小説を書こうと思ったきっかけは、ある日、道を歩いていると、いきなり空から降ってきた1個のピンポン玉だそうです。日常の中の些細だけれど不思議な出会いが人生を大きく動かすきっかけになるのです。この本、ゴールデンウィークなど長いお休みに「肩の力を抜きたい」と思った時に読んでいただくのがおすすめです。

ピンポン!この小説を読んで卓球をやってみたくなりました。マイ・ラケットがほしい!

ピンポン!この小説を読んで卓球をやってみたくなりました。マイ・ラケットがほしい!

今日は「アメトーーク!」で紹介されていた「ピンポン」という小説のお話でした。それでは、またね。

ピンポン

作者:パク・ミンギュ

翻訳:斎藤真理子

発行:株式会社白水社

価格:2,200円(税金別)

ページ総数:247ページ(本編+あとがき)

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