竹中直人と生瀬勝久の演劇ユニット「竹生企画」の第3弾は深みのある会話劇!~舞台「火星の二人」について~
レッサーパンダです。あなたの前にいるその人は、なぜ今あなたの前にいるのでしょう?きっとそれは、奇跡の様な偶然の積み重ねに違いありません。竹中直人と生瀬勝久のお芝居『火星の二人』はそんな、人と人との偶然の出会いの不思議に思いをはせる舞台でした。
会場は西梅田のサンケイホールブリーゼ
舞台「火星の二人」を見に行ったのは,大阪・西梅田の「サンケイホールブリーゼ」です。
かつての旧・サンケイホール時代から思い出の多いホールです。912席という大きなコンサートホールでありながら落語や演劇などの上演が多く、演劇通の間ではよく知られた場所です。この日も満員御礼。演劇ファンの熱気であふれていました。
「火星の二人」というお芝居について
「竹生企画」(タケナマキカク)は俳優の竹中直人と生瀬勝久が意気投合して出来た演劇ユニットだそうで、今回の公演はその第3弾です。簡単にストーリーを書くとこんな感じです。
一年前、郊外の遊園地で事故が起こります。ジェットコースターの一両がレールを離れて落下し乗客7名の内5名が即死します。その奇跡の生還者が大学教授・朝尾(竹中直人)。以来、彼は人柄が変わってしまい妻の素美(高橋ひとみ)や息子の正哉(池岡亮介)は困惑の日々を送っています。そんなある日、「事故の話を聞きたい」と執拗に連絡をしてきていた志波(生瀬勝久)が朝尾の家に押しかけてきます。家族は、はじめ志波が雑誌か新聞の記者だと思って招き入れますが、どうも話がかみ合いません。実は志波はジェットコースター事故から奇跡的に生き残ったもう一人の生還者だったのです。志波は朝尾に「我々が生き残ったのは単なる偶然ではない!きっと何か共通の使命があり、それが解かるまで二人は行動を共にすべきだ!!」と主張して、いつの間にか朝尾家に住み着いてしまうのです。事故により生死の境が曖昧になってしまった男・朝尾と、同じ経験からむしろ活力をみなぎらせていく男・志波。そんな二人のコミカルでありながら人生の意味を考えさせられるシニカルな演技が、見る人の心を揺さぶります。(パンフレット一部転用)
竹中直人と生瀬勝久について
主演の竹中直人と生瀬勝久の演技を見ていると二人の信頼と深い愛情のようなものを感じます。62歳の竹中と58歳の生瀬は、まるで少年の様に活き活きと舞台を駆け回ります。
二人の果てしの無い口論(の演技)は催眠術か魔法の言葉のように観客を演劇空間に引き込みます。その言霊を駆使する姿を見ていると、はるか昔に赤テント・状況劇場の唐十郎が書いた「特権的肉体論」という演劇論を思い出してしまいました。(解る人にしか解からない話でごめんなさい。)
観劇は世代を超えて感動共有できる素敵な体験
竹生企画「火星の二人」はとても完成度の高いお芝居でした。きっと、第4弾も実現してくれるものと期待しています。感激の余韻を胸に劇場を出ようとして気づいたのですが、明らかに親子と思われる方々が多数見受けられました。母と娘、父と息子といった家族連れが目立ちました。親子二世代で感動を共有できるのは演劇ならではです。その姿を見ていてレッサーパンダもいつか娘たちと観劇に出かけたいと思いました。
それまで、竹中直人さん、生瀬勝久さんには元気で現役を続けていただきたいものです。今日は、西梅田「サンケイホールブリーゼ」で上演されたお芝居「火星の二人」のお話でした。それでは、またね。
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