喫茶ソワレ/有名画家も足を運んだ京都の学生御用達だった店
レッサーパンダです。京都には昔から雰囲気のある「純喫茶」があります。(純喫茶はアルコールを扱わない店をさすので一部当てはまらない店もあるのですが、)半世紀以上にわたり今も愛され続けている有名店が今も営業を続けています。今日はそんな中のひとつ、河原町の「ソワレ」のお話です。
京都の学生文化の発信拠点だった喫茶店ソワレ
先日、河原町で用事があり、たまたま喫茶ソワレの前を通りかかって驚きました。なんとお店の前に行列が出来ていました。レッサーパンダにとってはちょっと衝撃的でした。
京都には昔から学生たちが集う喫茶店が多くありました。今でも残る「イノダコーヒー」、「フランソワ」、「築地」、「六曜社」、「スマート珈琲」などがそうです。学生が集まると政治や芸術、哲学の話で熱い議論が交わされたり、時には女性をくどいたり、試験のノートを借りたお礼としてコーヒーおごったりと・・・つまり当時から学生や卒業した大人たちの青春が詰まった場所だったのです。
お店の佇まいはそのまま、でも中身は・・・
行列の出来ていた日曜日はお店に入ることをあきらめましたが、何だか「行列のできているソワレ」に興味があり(以前は行列ができるなんて考えられなかった)別の日に足を運びました。このお店は初代のオーナーさんがなかなかの人物で、歌人の吉井勇氏や画家の東郷青児氏などと親交があったことで有名です。
レッサーパンダは最初にこの店を訪れたときに東郷青児画伯の美人画に魅せられたことを覚えています。その絵もまだお店にはありましたし、小声で話さないと「女性もくどけない」ほど隣の席に近い(笑)テーブル配置もそのままでした。この店を有名にした青い間接照明やレトロなインテリアも当時と変わっていないようです。
久しぶりだったので珈琲と一緒に名物「シュークリーム」を注文しました。ところ注文をすると店員さんが怪訝な顔をします。お話してわかったのですが名物だった「シュークリーム」はメニューから消えていたのです。店員さんに聞くと「あぁ、時々お客さんから聞きますね。美味しかったらしいですね。」と知らないようでした。ここのシュークリームはアンパンほどの大きさがあり、クリームが柔らかく一度食べたら忘れられない絶品でした。フォークで綺麗に食べられなくて、中のクリームをお皿いっぱい溢れさせていました。本当に残念です。
それでは行列ができるほど何がいったい人を惹きつけるのか??
シュークリームは本当に残念でしたが、それではと今のこの店の人気メニューをいただきました。それは店員さんに聞くまでもなくメニューの初めに載っていました。
かなり昔からある(1978年からゼリーです。特に人気なのが「ゼリーポンチ」。昔この店に通っていた頃は、ちょっと恥ずかしくて注文できなかったのですが、これはこれで『あり』ですね。ほのかに甘いカラフルなゼリーをグラスに盛り、レモンの効いたほろ苦い炭酸水(決してサイダーではない)をそそいであります。
大人好みのデザートで見た目とのギャップに感心してしまいました。
時代はこうして変わっていくのです
初代は年配の男性オーナーさんで、二代目はその奥さんでした。レッサーパンダが知っているのは奥さんが経営を始められてかなり時間が経ったころです(それでも、すっかり昔です)。
その頃の学生は自分の居心地の良いお店を2つ、3つ持っていて、レッサーパンダにとってソワレはそんなお店のひとつでした。今では芸術のお話よりゼリーポンチのインスタ映えの話題が中心のようです。まあ、そのおかげでソワレはつぶれずに続いていくわけですから「これは、これで有りか」と、また一つ自分の居場所がなくなったような複雑な気持ちでお店をあとにしました。
気を取り直して、新しい居場所探しをいたしましょう!!それでは、またね。
喫茶ソワレ
場所:京都府京都市下京区西木屋町四条上ル真町95
阪急河原町駅「木屋町北出入口」よりすぐ。
京阪祇園四条より徒歩5分
電話:075-221-0351
営業時間:火~日曜日の13:00~19:30(LO 18:00)
ゼリーポンチ700円
ゼリーポンチフロート800円
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