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2021-05-06

歌舞伎の舞台裏拝見!南座体験ツアーに行ってきた!!

こんにちはレッサーパンダです。物事って「見る位置(場所)が変われば、同じものを見てもこんなに違って見える」ということは良くあることです。今回、リアルにそんな体験をしてきました。今日はそんなお話です。

春の休日、歌舞伎のメッカ「京都・南座」に行ってきました

今回、出かけたのは京都・四条大橋の東詰にある『南座』です。皆さんご存じのように南座は歌舞伎の劇場、歌舞伎のメッカです。この日は歌舞伎を見に行ったのではなく運営会社の松竹株式会社が行った「南座 春の舞台体験ツアー」に参加してきました。

5階部分に見える「櫓」(やぐら)は江戸時代から続く仕来り。幕府から許された劇場のみが、ここに九尺四方の幕をかざすことが許されたとか。よく見ていただくと1階部分と同じ「松竹」の社章の染め抜きが。

5階部分に見える「櫓」(やぐら)は江戸時代から続く仕来り。幕府から許された劇場のみが、ここに九尺四方の幕をかざすことが許されたとか。よく見ていただくと1階部分と同じ「松竹」の社章の染め抜きが。

「南座」という劇場の歴史

南座という劇場は京都・四条のランドマークのような建物です。レッサーパンダも子供の頃から河原町界隈に出かけるたびに目にしており、その前を数限りなく行き来していました。「南座」という劇場の歴史は古く、一説によると設立は江戸時代初期・慶長年間といいますから、今から400年以上前には成立していたことになります。明治に入り、現在の松竹株式会社の全身となる松竹合名会社が経営をはじめ大規模劇場として隆盛を極めます。ちなみに現在のような立派な建物として竣工したのは昭和4年だそうです。2016年から2年をかけて大規模な耐震工事が行われ、現在、目にする桃山破風作りの豪華な劇場として再スターを果たしています。吉例顔見世興行をはじめとする歌舞伎舞台芸術の「箱」(小屋・舞台劇場)として日本中に知られています。

お揃いの赤い法被を着てお出迎えする南座スタッフ。背中には勘亭流で描かれた南座の文字。

お揃いの赤い法被を着てお出迎えする南座スタッフ。背中には勘亭流で描かれた南座の文字。

今回の『南座・春の舞台体験ツアー』ではそんな歴史ある南座の舞台裏を解説付きで見学できる貴重な機会なのです。

いよいよ体験ツアーの開始!わくわくしながら舞台上へ

劇場の係りの方からの簡単な説明と諸注意が行われ待ちに待った見学ツアーの開催です。

ツアー開始前に本日開催の趣旨と注意事項が伝えられます。特別なイベントなのです。

ツアー開始前に本日開催の趣旨と注意事項が伝えられます。特別なイベントなのです。

まずは挨拶代わり「揚幕」をくぐり17mの「花道」を渡って舞台に向います。

ツアー参加者は、普段、絶対に上ることができない「花道」を通って舞台に向います。

ツアー参加者は、普段、絶対に上ることができない「花道」を通って舞台に向います。

舞台までの距離は17m。ホライズンライトに赤く染まります。途中には「スッポン」と呼ばれる「せり」が。これは幽霊や妖怪など超自然現象の登場に使われる特別な「せり」です。

舞台までの距離は17m。ホライズンライトに赤く染まります。途中には「スッポン」と呼ばれる「せり」が。これは幽霊や妖怪など超自然現象の登場に使われる特別な「せり」です。

舞台は総ひのき張りで間口18.18m、奥行き14.54m、高さは7.27m。観客席から見るよりずっと広く見えます。舞台には公演時さながらの照明がセッティングされており(当たり前ですが)とても明るいのです。

舞台上に到着したツアー参加者たち。圧巻の客席風景にだれもが携帯で記念写真の撮影です。

舞台上に到着したツアー参加者たち。圧巻の客席風景にだれもが携帯で記念写真の撮影です。

この日の舞台背景は3月21日まで開催されていた「三月花形歌舞伎」で実際に使われていたセットがそのまま残されていました。この吉野山の桜の前で中村橋之助や尾上右近が実際に舞台をつとめていたと思うと、何だか感激です。

「回り舞台」や「せり上がり」を体験

舞台上、感激で固まっていると係りの人たちが「この円の内側に並んで立ってくださぁ~い!!」と声をかけてきました。よく見ると舞台上に大きな円が見えます。

係りのお姉さんたちの足元に注目!大きな円が見えるでしょうか?「回り舞台」です。舞台全体の5分の4を占める大きな回転舞台。その大きさが伝わるかな。

係りのお姉さんたちの足元に注目!大きな円が見えるでしょうか?「回り舞台」です。舞台全体の5分の4を占める大きな回転舞台。その大きさが伝わるかな。

これは舞台の場面を転換するための「回り舞台」だったのです。直径は13.18mと巨大で、それがゆっくり、ゆっくり回ります。現在は大きなモーターで動かしていますが、昔はおじさん達が人力で動かしていたのでしょうね。続いて、体験ツアー参加者は4組に分かれ客席側を向いて二列に並ぶよう誘導されました。一体何が始まるのかと思いきや、これは舞台上の昇降体験なのでした。

「せり上がり」の説明を受けるツアー参加者。でも皆、話がピンと来ていない様子。

「せり上がり」の説明を受けるツアー参加者。でも皆、話がピンと来ていない様子。

舞台上、客席に向かって横長の約10mのスペースが「せり上がり」になっています。舞台下3mから舞台上2.7mの昇降が可能です。「役者が舞台下を駆け足で渡り、せり上がりに乗って客前に登場」それをそのまま体験することができるのです。参加者は一様に感激した様子で、みんな写真をパシャパシャ(実はこのツアー写真や動画の撮影が許可されているのです)。

「せり」が動いた状態。こうなって初めて意味がわかったようで、みんな大感激です!!

「せり」が動いた状態。こうなって初めて意味がわかったようで、みんな大感激です!!

通称「奈落」。舞台下のスペースです。奥のライトが当たっている部分が役者道です。

通称「奈落」。舞台下のスペースです。奥のライトが当たっている部分が役者道です。

せり上がりに乗って客席を見渡すと、何だか自分も役者になったような気分になって心臓がドキドキ💓しました。大きな声で口上を叫びたい気持ちをぐっと抑えて次に向かいます。

観客視点、演者視点、立場が変わればこんなに違う

次は舞台袖の裏側を見学です。普段、観客としては絶対に見ることのできない大道具などの搬入口を見学しました。7m近い縦長の大扉が開くと、川端通り越しに四条河原町の街並みが見えます。「これって現実と夢の世界の狭間だな」と思わずつぶやいていました。感慨深く、自分の言葉にやけに納得してしまいました。

舞台の上手側に巨大な扉があります。この位置から見ると舞台袖の広さが良く分かります。

舞台の上手側に巨大な扉があります。この位置から見ると舞台袖の広さが良く分かります。

扉が開くと外から心地よい風が。南座って異空間なのだと実感します。

扉が開くと外から心地よい風が。南座って異空間なのだと実感します。

最後は役者気分を味わえる体験です。照明が少しずつ暗くなり、舞台上が暗転(完全に真っ暗)。次の瞬間に全照明が点灯されます。

舞台側から見る「緞帳」(どんちょう)。幕の裏には大きな「火の用心」の文字が。舞台にとって火事は天敵です。これを寄贈したのは京都の銘菓「井筒八つ橋」さんとのことです。

舞台側から見る「緞帳」(どんちょう)。幕の裏には大きな「火の用心」の文字が。舞台にとって火事は天敵です。これを寄贈したのは京都の銘菓「井筒八つ橋」さんとのことです。

まるで、役者になって観客の前に立ったような気分を味わえました。ここでも脈拍がすごく上昇していることが自分でもよくわかりました。

暗転から一瞬で全照明が点灯した様子。まるで自分が役者になったような疑似体験でした。あたらめて舞台と客席の美しさに見とれてしまいます。これぞ「ザ・南座」の景色です。

暗転から一瞬で全照明が点灯した様子。まるで自分が役者になったような疑似体験でした。あたらめて舞台と客席の美しさに見とれてしまいます。これぞ「ザ・南座」の景色です。

演劇が好きでこれまで多くのお芝居を観てきましたが、なかなか役者(出演者)目線で劇場を見せてもらえる経験はありませんでした。視点が変われば、見えてくる世界がこれほどまでに変わるとは・・・本当に貴重な体験でした。

実はこの体験ツアー3月27日から4月26日まで実施の予定でしたが、コロナウィルス緊急事態宣言の影響で4月25日(日)、26日(月)の両日のツアーは中止となりました。本当に残念な思いをされた方が沢山いらっしゃったことでしょう。

この体験ツアー、非日常を体験できる本当に面白い企画です。中止で涙をのんだ方々の為にも続けてほしいものです。それと、今回は大人の参加者ばかりでしたが、もっとティーンの皆さんにも参加いただきたいイベントです。日本には昔からこんな素敵なエンターテイメントがあり、それを支える技術や人々が存在し続けていることを知っていただきたいと思います。舞台芸術や劇場文化を末永く継承し、年代・時代を越えて受け継いでいただきたいと願いました。

演劇関係者には厳しい昨今。なんとか頑張っていただきたいものです。

演劇関係者には厳しい昨今。なんとか頑張っていただきたいものです。

今日は京都・南座の裏側を見ることができる「南座 春の舞台体験ツアー」のお話でした。それでは、またね。

「南座 春の舞台体験ツアー」につて

今回のツアーは残念ながらコロナウィルスの影響で途中中止となりました。いずれまた再開されるものと思います。

詳しくはこんなサイトから・・・

歌舞伎公式総合サイト「歌舞伎美人(かぶきびと)」

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