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2017-11-28

京都人の「いけず」について ―京都市の宿泊税条例可決について考える―

レッサーパンダは京都市内に出かける際にJR奈良線というローカル鉄道を利用します。JR京都駅と奈良駅を結び、間には20の駅があります。いまだに単線で列車の行き違い待ちのために途中でよく停まります。そんな田舎のローカルJR線なのですが、京都駅から数えて二つ目に「稲荷駅」という駅がありまして(初詣などで足を運ばれた方がいらっしゃるかも知れませんが)伏見稲荷大社という大きな神社の最寄駅です。初詣の参詣者数ではいまだに近畿で一番です。その稲荷駅がここ最近異常なことになっています。

京都に押しかける観光客の数がすごい!!

ここ数年、海外のメディアや旅行雑誌で伏見稲荷大社の千本鳥居が広く紹介され外国人観光客が増えました。外国人だけではなく国内の旅行者数が異常に増えています。お正月以外の伏見駅でプラットフォームから人がこぼれ落ちそうになるなんて、これまで考えられませんでした。観光シーズンの今は、その為に単線で本数の少ない奈良線は日中でも通勤ラッシュのようです。日常の足としてこのローカル線を使っている人からすると「何これは!?」という感じでしょうか。

宿泊税に対する京都人の考え方は・・・

先の稲荷駅だけではなく、ここ最近の京都市を中心とする観光客の多さには本当に驚かされます。そんな中で、11月2日に京都市議会で「京都市宿泊税条例」という法律が可決されました。9月21日に議会提出され驚異的なスピード可決です。今回の法案に対しては「うるさがた」の京都市商工会議所、観光協会、神社仏閣、私営交通団体、市民団体、金融各方面など誰一人異をとなえる者はおらず、つまりは概ね京都人の総意として受諾されたということですよね。

これにより来年10月からは宿泊料金が2万円未満の場合に200円、2万円以上5万円未満の場合に500円、5万円以上の場合に1000円が旅館業や住宅宿泊事業の運営者に特別徴収が義務付けられることになります。ちなみに国内では東京や大阪が先駆けて導入していますが、上限で200円程度ですから、今回の京都の宿泊税は異常に高いということになります。ちなみに導入されれば毎年45億円以上の税収が京都市に入ることになります。

宿泊税に見え隠れする「京都人の本音」

京都市長の門川大作氏は記者会見で今回の宿泊税の導入は市民福祉のためだと言っています。観光客の増加による「投棄ゴミの問題」、「市バスなどを中心とした交通混雑の緩和対策」などに使うとのことです。お話されていることは極めて正論で「観光客の皆さんが増えて京都は難儀してますのんえ。多少多めにいただいてもバチあたりまへんやろ?」ということですね。確かに宿泊税をとることは正論なのですが、レッサーパンダは、そこに何となくですが、京都人の『いけず』(意地悪、根性悪)を感じ取ってしまいます。かなり前の話になりますが、1980年代に京都市は「古都税」という税制を実施しましたが当時の神社仏閣、観光関係者の猛烈な反対でわずか2年ほどで廃止されました。それに引き換え今回は誰も一言の反対もしない。これはレッサーパンダの私見ですが京都の特に京都の中心地に住む人たちは観光客の多さに辟易としているのではないでしょうか。単に「ナマーの悪い観光客がいる」とか「電車やバスが混み合う」と言ったことではなく、もっと根源的な京都の人たちの共通の気持ちや大事にしているものを踏みにじられているような被害者意識を感じているように思います。大昔から京都は「よその人」に対しては厳しい街で「よその人が入れるのはここまでという境界線」を明確に持っています。それが、昨今の異常な観光人口の増加でデリカシーも無く自分たちの領域に土足で入り込んでこられているように感じているのではないかと思えてしまいます。

以前、このブログでご紹介した「本家尾張屋本店」「串くら本店」 、国宝展の「京都国立博物館」など宇治市に住んでいるレッサーパンダですら「これはちょっと、いかがなものか?」と思ったほどです。生粋の京都人にとっては心穏やかにいられないのでは・・・。「かと言ってお金を落としてくれる人々に「外国人来るな!観光客帰れ!!」とは面と向かっては言えませんよね。そこで京都の人は今回の宿泊税のような『いけず』をするのです。昔から京都の人は『「笑顔」と「いけず」の微妙な空気』の中で生きています。

京都観光のコツを1つお教えいたしましょう。

平成28年の京都市の調査では観光消費額は1兆862億円、宿泊客が過去最高の1,415万人を記録したそうです。いずれ貴方も京都観光に訪れるかもしれません。そんな時に京都の人たちに嫌われないコツを1つお教えいたしましょう。それは気持ちの持ちようです。JR京都駅に着いて足を一歩踏み出したら「よそのお宅にお邪魔した」と思う事です。よそのお家にお邪魔してご招待、ご接待を受けているのだという気持ちが大事です。

京都人は慎ましやかで礼節をわきまえたお客様が大好きです。宇治市民のレッサーパンダも常々心がけております(笑)。でないと次は知らない所で、どんな『いけず』を仕掛けられるかわかりませんよ(笑)。それでは、またね。

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