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2018-03-01

社員がやめないリッツ・カールトンホテルの秘密~セルフエスティーム(自己肯定感)の効果

こんにちはレッサーパンダです。皆さんはリッツ・カールトンをご存じですか?クレド経営などで顧客満足度の高さを誇る世界的に有名な高級ホテルチェーンです。先月、元・リッツ・カールトン日本支社長の高野登氏の講演会に出席する機会がありました。講演時間の1時間30分があっという間に感じてしまう素晴らしいお話が聞けました。今日はその講演会のお話です。

大阪・梅田にあるリッツ・カールトン大阪

大阪・梅田にあるリッツ・カールトン大阪

日本の自殺者数は先進国中で韓国に次ぎ第2位

高野登氏はリッツ・カールトンホテル定年後、ホスピタリティに関する講演会を全国で行っておられます。その傍ら、郷里の長野県で青年や高齢者の居場所作りを考える会を主催されています。理由は「自殺者を減らすため」です。お話を聞くまで実感がなかったのですが、今の日本は自殺大国で、年間の自殺者数は先進国中、韓国に次ぎ第2位だそうです。特徴的なのは若年層だけでなく中年、高年にその数が多いことです。高野氏のお話では自殺の原因の多くは「自尊心の貧困」と「つながりの欠如」であるとのことです。その二つを何とかしないと日本社会の自殺は減らないというのが高野氏の主張です。また、自殺に至らないまでも、我々の身の回りで「離職」という形で同じような現象が起こっている。多くの企業は「ビジネスにおける自殺の様な離職」を止めることができないでいることに警鐘を鳴らされています。

今回の講演会は関西生産性本部の主催イベント「撰壇塾」(せんたんじゅく)の企画です。

今回の講演会は関西生産性本部の主催イベント「撰壇塾」(せんたんじゅく)の企画です。

セルフエスティーム(自尊感情、自己肯定感)を大事にしているか?

高野氏はリッツ・カールトンの日本支社長として大阪、東京のホテル開業に関わられた業界の有名人です。また、リッツ・カールトン式の素晴らしい経営哲学を講演会や書籍で多くの方に伝えています。そんな中で、「社員がやめないリッツ・カールトン」伝説に関して1つのキーワードを挙げられています。そのキーワードは「セルフエスティーム」。日本語にすると「自尊感情」、「自己肯定感」という言葉になります。仕事が難しいとか、能力が不足しいていることが理由で離職する人は離職者全体の10%に過ぎないそうです。離職の理由の多くは人間関係の問題で、言い換えると「自尊心の貧困」と「つながりの貧困」だそうです。セルフエスティームとは自分自身が価値あるものだと思える感情のことです。職場で自分は何をやっているのか、自分のやっていることが何の役にたっているのか、自分のしていることは家族や世の中に誇れるのか・・・その様な問いかけに「YES」と言える人はどんなに辛くても仕事をやめません。給与や待遇の良し悪しではなく、止めない人は自己肯定感を感じ続けている人です。リッツ・カールトンでは常に「セルフエスティーム・OK(大丈夫)?」と声をかけあうことが日常になっているとのことです。

パワーポイントも映像も無し。高野氏は参加者に淡々と時にはユーモラスに語り続けます。  写真はご本人許可済みの撮影。

パワーポイントも映像も無し。高野氏は参加者に淡々と時にはユーモラスに語り続けます。  写真はご本人許可済みの撮影。

「つながりの貧困」をなくそう!

リッツ・カールトンホテルではお客様がコンタクトレンズをプール内で失うことが少なからずあるそうです。そんな時、落としたコンタクトレンズを営業終了後、たくさんの人間をかりだして探すそうです。実は、何十人がプールに潜っても翌朝までに見つかる可能性は100%ではありません。でも、探さなければ見つかる可能性は0%です。リッツ・カールトンホテルには「当たり前のことを当たり前にやる」風土があります。お客様が落としたものを探す・・・これは当たり前の事です。でも、たった1個のコンタクトレンズを何十人もが探すというのはどうかしているのではないか?そう思えます。でもリッツ・カールトンの経営陣はそれを良としています。彼らはいったい何を期待しているのか?リッツ・カールトンの経営はコンタクトを無くしたお客様のリピートを期待しているわけでも、話題作りをしているのでもありません。彼らが期待するのは「そこで生まれくるチームワーク」と「そのグループが見つけた時の達成感」に期待しているのです。「つながりの貧困を無くそう」としているのです。プールでコンタクトを探すという行為は「相互の関わり合いを深める行為」であり、これは「経営的に意味のある戦略」であると結論付けています。だから残業も認めるし、たった1個のコンタクトレンズを探し続けた人にねぎらいの言葉もかけるのです。

我々は働き方をデザインしている

また、リッツ・カールトンホテルには『45秒ルール』というのがあるそうです。部下全員に(上司に)毎日声をかける「今日は顔色が良いね」、「髪の毛切ったの」、「昨日のテレビ見た」でも何でもいい。長い話はいりません。その代り全員に45秒です。これも「つながりの貧困」を無くすための大変有効な手段となっています。多くの企業は、たったこれだけのことをやらない。分かっているが、みんなやらない。「いまさら出来ない」、「めんどうくさい」と『つながり』を軽視してしまうのです。リッツ・カールトンの『45秒ルール』は職場のスローガンでも、貼られているだけの標語でもありません。これはリッツ・カールトンの経営の根幹のお話です。リッツ・カールトンのトップは常に『経営はデザイン』であるといいます。それでは、何をデザインしているのか?彼らは『我々は常に働き方をデザインしている』と言うのです。「価値創造のデザインは戦略におとせる」つまりは「私は何をする人か」、「私は何をなすべきか」を自覚させ、みんなとつながる意識を持つことの大切さを知る風土を作り上げることが「価値創造のデザイン」をするということです。これは経営の重大な使命です。

あなたは他人の「センターピン」がわかりますか?

お話の最後に「あなたは他人の『センターピン』の有りかがわかりますか?という問いかけがありました。センターピンとはボーリングの中央のピンです。どんなに力任せにボールを投げてもセンターピンに当たらないとストライクはとれません。これは人間関係でも同じこと。今、自分が話す相手のセンターピンがわかっているか?お客様のセンターピンがわかっているか?これが解からないとお顧客満足なんて夢のまた夢です。また、自分の生き方のセンターピンがわかっているか?それが分かっていないと何をやっても満足しない、納得した人生を送ることはできない。

講演終了後の質疑応答は30分以上。会場は女性参加者も多く活気に満ちておりました。

講演終了後の質疑応答は30分以上。会場は女性参加者も多く活気に満ちておりました。

そのセンターピンをみつける感性を一生懸命に磨きなさい。最後のこの言葉が本当に心にしみました。聞きようによっては綺麗ごとだと、斜に構えて聞く人もいるかもしれませんが、多くの実績を積んで沢山の人々を率いてきた方のお話には言葉だけではない説得力とオーラがありました。講演終了後、心からの拍手を送りました。たいへん貴重な一夜を過ごさせていただきました。今日は職場のみんなで出かけた、元・リッツ・カールトン日本支社長・高野登さんの講演会のお話でした。レッサーパンダも「つながりの貧困」にならないように頑張りたいと思います。

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