朝日新聞大阪工場・見学記。へ~え、新聞ってこうやって出来るんだね。(その2)
レッサーパンダです。朝日新聞大阪本社の編集局にお邪魔して、記者さんたちが取材した原稿がどうやって新聞の記事になっていくのかを拝見しました。今回はその原稿がどうやって、みんなが知っている紙の新聞になるかを見学です。
朝刊約50万部、夕刊約30万部を印刷する巨大な新聞印刷のためだけの工場
朝日新聞大阪工場はJR東西線「海老江駅」、地下鉄千日前線「野田阪神駅」から歩いて10分ほどの所にあります。JR大阪駅からほど近いこの立地に大きな工場があるのが不思議です。
この工場、トッパンメディアプリンテック関西という会社が運営しています。凸版印刷と朝日新聞社が共同で設立した新しい会社です。朝日新聞の朝・夕刊をはじめ日刊スポーツなど関連の新聞を印刷しています。朝日新聞を印刷している工場としては全国で最大規模です。
年間1万人の小学5年生が見学する人気の工場見学コース
この工場、小学5年生の校外学習で利用されることが多いらしく年間1万人近い小学生が見学に訪れます。レッサーパンダは新聞の印刷工場というと大きな印刷機が動く(表現は悪いですが)インクと油の臭いが場内に立ち込めるブルーカラーなイメージを持っていました。しかし、工場内に入り認識が一変しました。
まるでホテルのロビーの様なエントランス、豪華なプレゼンテーションルーム、汚れ1つない工場内の通路や倉庫。清潔で明るく無機質にも思える静かな工場です。
まずは新聞印刷の基礎「CTP」(シーティーピー)について学びます。
中之島にある朝日新聞大阪本社で書かれた原稿は、離れた大阪工場に瞬時送られ、あっというまに印刷の準備ができてしまいます。不思議ですよね。これはコンピュータを使った最新の技術が導入されているからです。
シー・ティー・ピー(CTP:コンピュータ・トゥ・プレート)という高度な印刷技術が採用されています。朝日新聞大阪本社と工場が高速通信回線で結ばれており、たいへん重い印刷紙面のデジタルデータが苦も無く届けられます。そのデータをもとに光に反応する樹脂を塗ったアルミニウム板にレーザー光線で文字や写真の版が直接焼き付けられます。昔のように活字をひとつひとつ拾い集め原版を1面1面作っていた時代からは考えられない速度で版面が完成していくのです。印刷のための時間が短縮された分、記事の校了締め切り時間が延び、刻一刻と変わる最新のニュースにぎりぎりまで対応することが出来るようになったのです。
工場内には昔の活版印刷の展示があります。つい30年ほど(1988年)前まで、この様な鉛活字による新聞印刷が主流でした。印刷技術、IT技術の進歩には目を見張るものがあります。
巨大な「輪転機」や「ロール紙」の迫力に圧倒される。
工場内は5階建てになっていて大型トラックでロール紙(巻き取り紙:直径1.26m、幅1.62m、長さ19.11km、重さ1330kg)が搬入されます。
ロール紙は5階から順番に15m×25mという巨大な輪転機に供給され1時間あたり最高16万部という超高速で印刷されます。
刷り上がった新聞はキャリアと呼ばれる機械に挟まれ、販売所単位という細かな仕分け・梱包がなされます。
何もかもスケールが大きく、その迫力に圧倒されます。ここまでの工程、人間の手は一切入りません。この巨大な印刷工場には、何と搬入出の担当や工場見学の担当、事務員さんも含めて、たった100名しか人がいないそうです。
工場に対する古い認識を改めさせられました。
以前のキューピーマヨネーズの工場でもそうでしたが、工場での仕事は昔のような肉体労働ではなくなっています。知的オペレーションに変わっていました。私たちが毎日手にする新聞は最新のITと印刷技術により校了から4時間ほどで出来上がり届けられます。その技術は日進月歩でまだまだ進化の途中です。この工場に見学に訪れる今の小学5年生たちが大人になる頃には新聞の概念が根本的に変わっているかも知れませんね。
今日は、朝日新聞大阪本社とセットで見学させていただいた朝日新聞大阪工場のお話でした。それでは、また。
朝日新聞大阪工場((株)トッパンメディアプリンテック関西)
【所在地】 大阪市福島区海老江三丁目22番61号
【見学できる日】 月曜~金曜日 (※祝祭日と年末年始を除く)
【スタート時間と所要時間】 1日2回(所要時間:約80分)12:00~、②13:30~
【ご予約・お問い合わせ電話番号】 06-6454-3636
(受付時間:午前10時~午後4時、土日祝日を除く)