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2020-07-06

この本おすすめ!千住博の「名画は語る」

レッサーパンダです。本を読むことが好きなのですが、実は家ではほとんど本を読みません(家にいると何かとすることが多くって・笑)。それじゃ、どこで読んでいるのか?ほとんどは通勤電車の中です。片道約1時間の読書タイムです。コロナの影響で読書時間がスポイルされていたのですが、やっと通常のリズムが戻ってきました。久しぶりに軽い本を読もうと手に取った「絵画の解説書」がとても良かったのでご紹介します。

千住博」という芸術家について

手に取った本は千住博さんという芸術家の『名画は語る』という本です。千住博さんは日本画家です。ヴェネツィア・ビエンナーレ絵画部門にて名誉賞を東洋人として初めて受賞、紺綬褒章も受章しています。現代芸術系(画壇に属さない)の画家。世界に向けて今も新しい表現方法で発信を続けています。

今回、ご紹介するのはこの本です。308ページ、その気になれば1日で読めてしまいます。

今回、ご紹介するのはこの本です。308ページ、その気になれば1日で読めてしまいます。

レッサーパンダがこの方の作品を初めて見たのは、そんなに昔のことではなくて2010年か2011年頃だったと思います。東京国際空港(羽田)国際線ターミナルに巨大なタペストリー(?)が設置されていて、それが千住博さんの作品だということを後になって知りました。彼の作品テーマは一貫しています。「waterfalls(滝)」です。日本画特有の岩絵の具を使い描かれる繊細かつスケールの大きな作品は思わず立止まり見入ってしまいます。京都造形芸術大学学長(現在は教授)も務めた現代美術の世界では大先生なのですが、こんなに文才のある方だとは思いませんでした。

作品を初めて見たのは美術館ではなく東京の空港でした。この作品スケールが伝わるかなぁ。

作品を初めて見たのは美術館ではなく東京の空港でした。この作品スケールが伝わるかなぁ。

芸術作品の裏側、観方が分かりやすく解説されている本

この本のお話に戻ります。本書では45点の有名作品を以下のテーマ(各章)に分けて紹介しています。

・私たちはなぜ「この絵」に魅了されるのか?

・絵の真実を読み解く

・時代を表現した天才たち

・画家が描きたくなる「もの」

・「生きる」意味を問い続けた画家

紹介されている画家は、誰もが知る有名な方々ばかりです。その画家の有名作品を1つ選んで紹介されており、ページで言うとだいたい6~7ページほどです。たいへん分かりやすい語り口で、その作家や作品のエピソードや目の付け所、解釈などが紹介されています。

1冊通して読むと過去から近代にかけての美術史を一通りおさらいしたような気分になれます。決して大学の講義のように堅苦しく眠くなるようなことはありません。「簡潔なエッセイ」、「超短編小説」の集まりという感じです。

ゴッホ と ゴーギャン にまつわるエピソード

「短編小説のよう」と表現したのには訳があります。数編に1つ程度ですが、千住さん自身がその画家になって読者に語り掛けてくる章があるのです。よく言う1人称表現・ひとり語りですね。そのエピソードがとても面白いのです。過去の文献から事実を語っているのだと思いますが、文面から千住さんの考察も見て取れます。そんなエピード紹介には面白い仕掛けも用意されていて、1つだけ紹介します。

ゴッホとゴーギャンが友人だったということは一般によく知られていますが、面白いのは「ゴッホのひまわり」の紹介章に呼応する形でゴーギャンの作品紹介がされていることです。

当時、ゴッホはかなり精神を病んでいてアルルの自宅に、パリ在住の有名画家たち(ドガ、モネ、ルノワール、シスレーなどなど)を招待します。ゴッホは招待した作家たち各々をイメージした色彩の部屋まで用意して招待客が訪れるのを待ちわびるのです(かなり危ないオジサンです)。結局、招待に応じて訪問するのはゴーギャンただ一人、それに激高したゴッホはゴーギャンの目の前で自らの耳を切り落としてしまいます。これは美術史に残る有名なエピソードですよね。

各章に1点、エピソードにまつわる作品の画像が添えられておりそれを見るだけでも楽しい。

各章に1点、エピソードにまつわる作品の画像が添えられておりそれを見るだけでも楽しい。

ゴッホのせいでひどい目にあって逃げるようにパリに帰ったゴーギャンですが、後日、ゴッホ宛に手紙を送ったという想定でゴーギャンの作品紹介がされているのです。

その文面にはゴッホに対するゴーギャンの思いやり、なぜタヒチで絵を描き続けるのか・・・などなど。前章のゴッホのパーソナリティーも浮き彫りにされています。この様な文面の手紙を本当にゴーギャンがゴッホに送ったのかは定かでありませんが(多分、千住さんの創作だと思います)、ゴーギャンという人物の人柄が伝わってくる名文です。

「ゴーギャンってこんなに繊細で心優しい人だったんだ」と感心してしまいました。

「ゴーギャンってこんなに繊細で心優しい人だったんだ」と感心してしまいました。

千住博さんのリアルな制作方法を見ることができる

美文、名文は小説家や職業作家に及ばないまでも、千住さんの文章には画家たちへの愛情が溢れています。この本を読んでみて、あらためて千住博さんの作品を見てみたくなりました。氏の作品図録を1冊だけ持っているのですが、他にも何かないかと探したところ長野県に「軽井沢千住博美術館」という美術館があることを知りました(レッサーパンダが知らなかっただけで皆さん既にご存じかも知れませんね)。

千住博の「滝」という作品集を持っています。いつか美術館にも足を運びたいですね。

千住博の「滝」という作品集を持っています。いつか美術館にも足を運びたいですね。

Webサイトもあり、そこでは千住さんが実際に巨大な作品を制作する様子も動画で紹介されています。ご興味ある方はぜひ一度ご覧になっては。

今日は日本画家・千住博さんが名画の紹介をする書籍「名画は語る」のお話でした。それでは、また。

「軽井沢千住博美術館」について

住  所:長野県北佐久郡軽井沢町長倉815

電  話:0267-46-6565

詳しくはWebサイトから →「軽井沢千住博美術館」

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