往年のフレンチ名店の味が今も楽しめる「ラ ペティ・ロアラブッシュ」
ザ・リッツ・カールトン大阪やウェスティン大阪、ホテルインターナショナル阪急、ホテルニューオータニ大阪といった名だたるホテルが大阪の街に進出する以前、JR福島駅から歩いて10分ほどのところにホテルプラザという有名ホテルがありました。憶えておられる方も沢山いらっしゃることでしょう。11店のレストランやバー、ラウンジを持ち「味のプラザ」と賞されましたが、新規参入の大型ホテルの攻勢に抗いきれず1999年惜しまれながら30年の歴史に幕を閉じました。
ホテルプラザのメインダイニング「ル・ランデヴー」は料理愛好家やシェフの学校でした。
プラザのメインダイニングはフランス料理で「ル・ランデブー」といいました。このレストランは業界のお手本となる名店でした。お料理の美味しさは当然ですが、カトラリーや店内の装飾の花、サービスの手順など同業の料理人の方々も勉強に来るという、言わばフランス料理の学校の様な位置づけだったのです。レッサーパンダも若い頃に何度か食事に訪れましたが、お店のサービス係の人たちが手が空けば家具や調度を丁寧に白布で磨いていたことが印象深く、古い店舗(設備)を大事に使われているなぁ・・・と感心した記憶があります。また、銀食器の「クリストフル」を覚えたのも確かこの店だっと思います。
その「ル・ランデブー」のシェフはフランス人でしたが、右腕にあたる料理人さんは日本人でした。シェフ・澤柳茂氏は現在、レッサーパンダの会社の近く大阪・北浜にあるフレンチレストラン「ラペティ・ロアラブッシュ」のオーナーシェフとして活躍されています。ホテルプラザ伝統の味を受継ぎ、斬新な挑戦を今も絶えることなく続けておられます。
澤柳シェフの世界観を堪能する贅沢な一夜。
十五夜が過ぎた満月の夜、久しぶりに「ラペティ・ロアラブッシュ」を訪れました。忘れていたわけではないのですが、前回訪れてから1年4カ月の時間が経っていました。
この「ラペティ・ロアラブッシュ」の様な店の素晴らしいところは、新興のカフェレストランや創作フレンチと違い、いつ行っても外れがなく安定感があることです。お料理されるのはいつもオーナーシェフですし、サービス係の年配の男性も長く変わりません。いつ訪れても常連のお客を変わりなくもてなしてくれるのです。「往年のホテルプラザの味」などと書くと、まるで料理がひどく古臭いもののように聞こえますが、店に来てテーブルに着くたびに新鮮な驚きを体験させてくれるのです。この日も「北海道産仙鳳趾牡蠣(せんぽうしがき)」という珍しい牡蠣を「おかひじき」でくるんで焼き上げた逸品をいただきました。
店に来るたびに常に新しい発見があります。人を心から惹きつける新しさは、忍耐強い継続に支えられています。以前読んだ本『シェフを「つづける」ということ』の一節に10年続ければ奇跡、30年続けば伝説とありました。この飲食戦国時代で10年続けられる店はたったの1割なのです。
だが10年はゴールじゃない。これから先も続けるならば、これまで以上の上を目指さないと生き残れない。シェフたちはそんな真剣勝負の世界で生きているのです。食べる側は確かに一時の享楽を味わうエピキュリアンですが、見事な料理の裏にある物に感嘆し、しばし心はせるのが真剣勝負に対する礼儀かと思います。美味礼賛・味めぐりは本当にやめられません。
今日は北浜で本物のフレンチが楽しめるレストラン「ラペティ・ロアラブッシュ」のお話でした。それでは、また。
ラペティ・ロアラブッシュ
住 所:大阪市中央区今橋2-1-10 ダイセンビル1F(京阪・北浜駅より徒歩5分)
TEL:06-6208-1808
営業時間:
ランチ 11:30~14:00(LO) 土曜日、日曜日、祝日 11:30~14:30(LO)
ディナー 17:30~20:30(LO)定休日:月曜日
料 金:ランチ ¥2,900~ ディナー ¥4,500~ ※レッサーパンダは「Aコース」¥6,000 をいただきました。